漆原木虫×漆原英子展 開催中
梅雨入りしましたね
強雨と弱雨が降ったり止んだりしています。
今週から、画廊コレクションによる『漆原木虫×漆原英子 展』が始まりました
漆原英子先生の作品は何度かご紹介しておりますが、父・木虫の作品は当画廊
では今回が初出品となります
木虫(うるしばら もくちゅう、本名:由次郎(よしじろう))は、1889年東京
生まれ。1910年5月14日、ロンドンで開催された日英博覧会に日本の木版画
技術を紹介するデモンストレーターのひとりとして、所属していた審美書院の
メンバーと共に博覧会に参加しました。
19世紀のヨーロッパでは「ジャポニスム(日本趣味)」の風潮が高まり、特に
浮世絵に触発されて版画制作を始めた画家もいたようです。
木虫は、1939年第二次世界大戦勃発により帰国を余儀なくされるまでロンドン
・パリを拠点に、木版画に興味を示す芸術家たちに積極的に伝統的な木版画の
技術を教えて共同制作もし、その芸術性を伝えると共に、自身がデザインから
彫り・摺りまで行ったオリジナル作品も多数制作しました。
本展では、木虫がイギリス滞在中に現地の画家と共同制作した作品1点と、
オリジナル作品を9点、英子先生の鉛筆画を11点ご紹介いたします
Brangwyn/漆原木虫 Grandcanal, Venice
26×38.4cm 木版画・和紙
まずは木虫の作品から。
「Grandcanal,Venice」は、イギリス人画家のフランク・ウィリアム・ブラングィン
(1867-1956年)との共同制作の中の一枚で、ブラングィンが木版画の為の
下絵を提供し、木虫が彫り・摺りを担当した作品です。
右下に木版摺でFrank Brangwyn、左下に鉛筆でY.Urushibaraのサインがあります。
日本の浮世絵と比べると、遠近感がもっとはっきりしていて光の表現方法も違って
見えます。
朝日と水面にゆらゆらと映るゴンドラの影の表現がとてもきれいです
ご遺族によれば、4枚目の作品が大英博物館に収蔵されているそうですよ
漆原木虫 Marigolds 33×24.7cm 木版画・和紙
こちらは木虫のオリジナル作品です。
木虫の作品のテーマはヨーロッパの風景と花びんに生けられた花を描いた静物
で、「Marigolds」も日本の浮世絵とは雰囲気が違います。
花びんにはマリーゴールド、スイートピー、カーネーションなどの洋花が
生けられ、華やかな色使いで独特の世界を表現しています。
和と洋のバランスのとれた素敵な作品です
そして、こちらが英子先生の鉛筆画です。
展示作品のうち1点を除いて題名がない為詳細は分かりませんが、おそらく
先生の他の作品同様に人間の心理を表現していると思われます。
色使いや表現方法がどこか日本人離れしているように感じます。
海外で大きな功績を残したにも関わらず、その名をほとんど日本で知られて
いない父、海外の影響を受けながら独自の作風を築いた娘。
二人の芸術家の世界をぜひ、この機会にご覧ください
会期:2014年 6.9(月)~6.27(金)
休廊日:6/15(日)、21(土)、22(日)
営業時間:10:30~18:30(最終日は17:00まで)
| 固定リンク
「文化・芸術」カテゴリの記事
- 臨時休廊のお知らせ(2023.03.18)
- 佐藤礼子展 開催のお知らせ(2023.03.26)
- 画家の食卓(2023.02.13)